エモーショナルさに満ちたサウンドは聴き手とのつながりを求めた fhána の到達点

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現代音楽の申し子らしく、さまざまなジャンルから浴びた影響を融合させ、メランコリックでエレクトロなバンドサウンドを送り出してきたfhána (ファナ) 。そんなfhánaの一つめの到達地点と言えるのが、今回の 3rd アルバム『World Atlas』である。到達地点というのはサウンド面よりもむしろ、fhánaが楽曲を生み出す際に意味づけてきた哲学的なテーマにおいてといえる。

ミニアルバムと 2nd アルバムのタイトルはそれぞれ『New World Line』『What a Wonderful World Line』と 。1st アルバムではブックレットに「~僕たちの言葉は、誰かの心に届かなくなってしまった。そんな世界で、僕は君に出会った」と序文を載せたように、fhánaは、自分達が音楽を作る意味、楽曲を聴いてくれる人との関係性、そんな自分達を取り巻く “世界” = “World ” をテーマに表現してきた。

World Atlas』でも当初、その延長線上であり集大成となる世界像が描かれる予定だった。しかし、『青空のラプソディ』を制作したことでそのルートが変わる。fhána史上最高に明るく踊れるポップスとして作られたこの楽曲(PVでは本人たちも踊ってみせた)のヒットはfhánaの周囲を激変させた。アルバムを冠しない『Looking for the World Atlas Tour』を開催することとなり、鉄板ソングの誕生で各会場は大いに盛り上がった。fhánaは聴かせる音楽ユニットからライブバンドの側面を手に入れると同時に “聴き手” だったファンが、共に歌い、踊り、自分達が表現する世界を作り上げる “仲間” でもあると気づく。

その結果、佐藤が「今よりもっといい場所へと、踏み出すときに地図となり得るような作品」と語ったように、3rd アルバムでは世界を表現するにとどまらず、より聴き手を意識した “新世界への旅立ちを後押しする” というテーマも与えられた。

リード曲にしてアルバム1曲めを担う『World Atlas』は、今までの楽曲に比べるとシンプルではあるが、ピアノとストリングスが軽快なメロディを描き、旅立つ喜び、旅への希望を感じさせる。『ユーレカ』『アネモネの花』『star chart』『Rebuilt world』『ムーンリバー』と続く流れは、今まで通り我々がいる “世界” を表現しつつも、歌詞も曲もとてもセンチメンタルにアプローチしている。そして新曲にして最後に入った曲の名は『It’s a Popular Song』。彼らの「みんなの歌を作ろう」という思いが込められ、さらに歌詞には「次の目的地」という言葉が入れ込まれた。インナースペースを追究し続けたfhánaがたどり着いた先で見い出した音楽は聴く者の耳と心に染み入る、類まれなるエモーショナルなアルバムとなった。

text:清水耕司

PROFILE

fhána(ファナ)|2011年、佐藤純一を中心に、yuxuki waga(ユウキ ワガ)、 kevin mitsunaga(ケビン ミツナガ)という3名のサウンド・プロデューサーにて結成。 2012年秋には、ゲスト・ボーカルの1人だった towana(トワナ)が正式メンバーとして加入し、現在の4人体制が完成。 2013年8月に、TVアニメ『有頂天家族』ED主題歌『ケセラセラ』でメジャーデビュー。国内外でライブ活動も積極的に開催。アニソン/J-POP/J-ROCK/日本/海外などの垣根を超えた軽やかなスタンスで、音楽への挑戦を続けている。

LIVE

『fhána World Atlas Tour 2018』

5月27日(日) 北海道・KRAPS HALL

6月9日(土) 愛知・ボトムライン

6月17日(日) 大阪・Zepp Namba

6月24日(日) 東京・Zepp DiverCity

cd jacket

 『World Atlas』

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Website:www.fhana.jp