PICK UP ARTIST Suchmos

ニューレーベル『F.C.L.S.』から満を持して放たれた第1弾作品

2016年に楽曲「STAY TUNE」で大ブレイクを果たし、今や絶大な人気を誇るSuchmosがこの夏、新たなレーベル『F.C.L.S.』を立ち上げた。その第一弾作品となる『FIRST CHOICE LAST STANCE』の魅力を紐解いてみる。

 

A:「最近どんな音楽聞いてるの?」
B:「好きなのは、Suchmosとかー」
A:「Suchmosってカッコいいよねー」

 

比較的若い世代の音楽リスナーであれば、この会話のやり取りがすんなりとイメージできるのではないだろうか? もしくはこんな会話を1度はしたことがあるのかもしれない。Suchmosは今、若い世代を中心に、“カッコいい”の代名詞となりつつある。

昨年世に放たれた「STAY TUNE」で、音楽シーンに一石を投じた、茅ヶ崎発6人組編成のSuchmos。2017年もその勢いをますます加速させ、今年の夏はSUMMER SONICなど全国各地の音楽フェスに多数出演、そして7月には日比谷野外音楽堂でのワンマンライブを成功させた。

そんななか、彼ら自身が“カッコいい音楽”を貪欲に追求すべく、今夏Suchmosは新たなレーベル『F.C.L.S.』(エフ・シー・エル・エス)を立ち上げた。その第1弾としてリリースされたのが、自身のレーベル名を冠した『FIRST CHOICE LAST STANCE』。

収録されている2曲に明快なポップさはないが、その一筋縄ではいかないサウンドが中毒性を持ち、リピートで耳を傾けてしまうのである。

イントロから歪んだギターのリフが印象的な「WIPER」は、リリース前からライヴでも披露され、ファンからは人気の高いナンバーだ。ロックをベースにジャズ、ブルース、ファンク、ソウルとさまざまなジャンルが溶け込んだサウンドは、攻撃性を潜めながらもクールな歌詞によって絶妙な温度感を保っている。

そして、自分の内面を掘り下げ、葛藤と向き合う様を歌詞に綴ったミディアム・ナンバーの「OVERSTAND」。アーバンなギターとシンセサイザーの音色が80年代のシティ・ポップを彷彿させながらも、YONCEの伸びのある歌声によって新たなサウンドが生み出された。

 

“燃え尽きそうな 夜明け前のブルース 口ずさめば なにも知らないような 気持ちにしてくれる――”

 

誰もいない波音だけが聞こえる静かな海辺、はたまた空気の澄んだ秋の夜長にじっくりと聴きたい、この時期にぴったりとハマるナンバーに仕上がっている。

ラフな出で立ちから、クールで気負いのなさを感じさせるSuchmosだが、きっと彼らの内面には、自身のスタンスを最後まで貫き通す、確固たる覚悟が秘められているはずだ。多彩なジャンルを織り交ぜたセンスの光る作品で、日本の音楽シーンに明らかな変化をもたらしていく。そんな偉業をSuchmosならやってくれそうで、早くも第2弾の知らせを待ち遠しく感じている。

 

I N F O R M A T I O N

FIRST CHOICE LAST STANCE

2 tracks CD
FIRST CHOICE LAST STANCE
NOW ON SALE KSCL-2940 ¥1,000(税別)

Website:www.suchmos.com

 

PROFILE

YONCE(Vo)、HSU(Ba)、OK(Dr)、TAIKING(Gt)、KCEE(Dj)、TAIHEI(Key)の6人グループで2013年1月に結成。メンバー全員神奈川県育ち。ACID JAZZ&HIP HOPなどブラックミュージックにインスパイアされ、都内ライブハウス、神奈川・湘南のイベントを中心に活動。Suchmosの由来は、スキャットのパイオニア、ルイ・アームストロングの愛称サッチモからパイオニアとなるべく引用。