Relay Column 株式会社ウドー音楽事務所  石谷正和

コンサート会場がもっと増えれば音楽文化が広がっていく。

有明アリーナの誕生に期待します!

 

1960年代後半から70年代にかけて、欧米からロックミュージックがやってきました。66年にビートルズが来日し、それ以降日本でロックという文化が急激に広がりました。従来、音楽会は劇場が主流でしたが、ロックコンサートはその殻を破り、武道館を始め大会場で数々のコンサートが行われるようになったのです。東京には64年の東京オリンピック時に建てられた日本武道館、国立代々木競技場というコンサート仕様で1万人クラスの会場がありますが、音楽文化の高まりによって、連日このような大会場にてコンサートが催されるようになったのです。武道館ではCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)、シカゴ、BST(ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ)、エルトン・ジョン、エリック・クラプトン、ボブ・ディランなど。代々木競技場ではジェネシス、ピンク・フロイド、ブルース・スプリングスティーンなどが本場のコンサートを披露しました。日本のスポーツイベントとコンサートがこれほど発展してくると、対応できる会場がもっともっとあってほしいです。世界では様々な規模の会場が各都市にあります。野球場、フットボールスタジアム、バスケットボールアリーナ、アイスアリーナ、野外音楽堂など、これらの会場は1万人、2万人を収容でき大型のコンサートが活発に行われております。スポーツ施設をコンサートで使用する場合は必要な舞台、照明、音響、映像、楽器、ケータリングなどを外部から持ち込みで設置しますが、特に照明、音響、映像は会場の屋根から吊ることが必要です。照明はプランによって様々な方向から明かりがとれるのが大事で必要な場所に吊れることが大事なファクターです。

昨今のPAは会場の隅々まで均一の音が届く様、設計されたラインアレイ式PAを使っており、会場の天井から吊ることにより効果が発揮されます。コンサートの発展に伴い、使用する各種機器も飛躍的に開発されましたが、吊り物に関しては会場の構造、耐重量の観点から制限があるのが実情です。

2020年に東京オリンピックを行うにあたり、「東京の会場」が今話題です。ボート・カヌー会場、水泳会場、そしてバレーボール会場など、新しい会場を作るならオリンピック後、ぜひコンサート会場として使用できるように設計して頂きたいです。

 

①充分な吊り物ができること

②物資の搬入出がしやすいこと

③床が丈夫でフォークリフトなどの重機の展開ができること

④アリーナ部分が客席として設計され充分な避難導線がとれること

 

これらが採用されると、欧米のコンサートと同等の演出を実現することができるようになるでしょう。オリンピック後、集客力のあるコンサートはこれら施設の運営維持のためにも貢献できると思います。私は東京にさいたまスーパーアリーナクラスの2万人キャパの会場が2つあってもいいと思います。日本の音楽文化が発展できるよう、有明アリーナの誕生を心待ちにしています。

 

株式会社ウドー音楽事務所 石谷正和

Profile
1968年、株式会社ウドー音楽事務所に入社。1972年のCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)ノニホンブドウカンコウエンヲタントウ。イライ、ロックミュージックノハッテントともに、ローリング・ストーンズ、キッス、ボン・ジョヴィ、エアロスミスなどを手掛ける。