「EVANGELION FINALLY」発売記念!!高橋洋子インタビュー〜Vol,1〜

1995年の『新世紀エヴァンゲリオン』の放送開始から、同作の様々な楽曲を担当し、話題をさらった高橋洋子。特に「残酷な天使のテーゼ」は今なお根強い人気を誇る。アニソン界のTOPに君臨し続ける高橋に『新世紀エヴァンゲリオン』との出会いと楽曲への思いを聞いた。

 

高橋さんが『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌を歌うことになったきっかけを教えて下さい。

高橋:当時、私はキティレコードというレーベルに所属していたのですが、いろいろな事情も重なってLAに半年間ボイストレーニングのレッスンに行っていた時期があったんです。LAから帰って来たら、もう浦島太郎状態で仕事もなくて(笑)それで困っていた時に、以前から仕事をご一緒させて頂いていた作曲家・編曲家の大森俊之さんに連絡したら「あるアニメのEDをいろんな人が歌う企画があるから、もしキティレコードさんが良いって言ってくれたらやらせて貰えば?」って。当時違うレコード会社から曲を出すって色々大変だったんです。それで確認したらOKもらえたんです。そうしたら当時のプロデューサー・大月さんが「じゃあ主題歌も歌えば?」って言って下さって主題歌も歌わせて頂くことになったんです。もう偶然に偶然が重なったので、本当にラッキーだったって思っています。

 

まさにタイミングが重なったんですね?1995年に発売された「残酷な天使のテーゼ」ですが、最初歌詞と曲を耳にした時の心に残る印象などはありますか?

高橋:最初は音だけ入っているデモテープをもらったんです。仮歌も入っていなくて、キーボードでメロディーが入っていたものと楽譜だけだったんですが、本当に難しかったんです。作詞については及川眠子さんに詞を書いて頂いたんですが、デモテープに仮歌が入っていない場合、私が想像で歌詞をメロディーに合わせなければならない時もあります。でも眠子さんの場合は、書いてある通りの歌詞をはめればいいというすごい完成度だったんです。「さすが眠子さん!ピッタリ!」って思いましたね。タイトルに関しても「天使なのに残酷なんだ〜」ってすごいインパクトがありました。つい最近わかったことなんですけど、プロデューサーの大月さんが「(曲を)難しくして。」ってオーダーしたらしいんです。「そりゃ難しいわ!!」って思いますよね?(笑)でもその難しいっていうのを歌うってことは、私の「歌いたい」っていう本能を掻き立てるためだったのかな?と思っています。

 

「残酷な天使のテーゼ」は発売されてから25年経ちますが、今なお幅広い層に支持され歌われています。その大ヒットの理由はなんだと思われますか?

高橋:まずアニメが今でも終わってないという事と、そのアニメが内容もキャラクターも本当に良くて、制作班も音楽班も全てのスタッフがその分野のプロフェッショナルの人たちで作られている作品だったという事が1つの要素だと思います。もう1つの要素としてはアニメのストーリーと曲がマッチしているというのもあると思います。後から聞いた話なんですが、OPに関しては歌に絵を合わせて下さったそうです。余談にはなりますけど、昭和のアニメソングって、そのキャラクターの名前が歌詞の中に入っていたり、タイトルが入っているのが主流だったんです。平成になって特に「残酷な天使のテーゼ」以降、歌詞やタイトルの中にアニメキャラクターなどの名前が入らない傾向になったと思います。

 

それから25年間という長い間ファンを増やし続け、今では世界中にその層も広がっていますね。

高橋:特にテレビシリーズは最終回についていろんな議論もありましたね。その後映画が作られることになりその主題歌として「魂のルフラン」が生まれたんです。去年からNetflixで『新世紀エヴァンゲリオン』とその映画が観られるようになったということもあって今の若い世代の方も目にする機会が増えたんです。初めてみた人にとってはエヴァが始まったのは、まさに今その瞬間なんです。みんな終わりが知りたいっていう期待感を持っておられるのが、長い間ファンが増え続けている理由なんだと思います。自分の中の経験値が加わって、歌も聞くたびに印象が違いますし、映像も見るたびに違う発見とか捉え方ができたり、答えが変わってくるっていう本当に哲学的な作品だと思います。余談ですけど、曲も難しくて大変でしたけど、制作陣はもっと大変だったと聞いています。声優さんが演技・収録してからその音声に合わせて絵を起こすっていう、当時のアニメ制作の通常工程とは逆の作業をしていた部分もあるとのこと。だから各キャラクターの表情と声が怖いくらいリンクしているんです。シンジ役の緒方さんもすごい激しいシーンとか大号泣しながら演じていらっしゃったと伺い、だからこんなにも心に響く作品になるんだと思いました。

 

先日作詞家の及川眠子さんにもインタビューをさせていただいたのですが「本当に終わるのかしらね?」って言っていましたが・・・

高橋:終わると聞いています(笑)。コロナがなければ、本来であれば当初公開予定日の6月27日に完結していたと思うんですよね。今は25年前とは違った表現ができるようになって音もよく迫力もあってスピード感が感じられるので、やっぱり大きなスクリーンで、映画館で見てもらいたいと思います。私は公認のアンバサダーという立場で、一昨年から2年間フランスで行われたJapan Expoでもパフォーマンスしたりなど、幅広い方に見て頂ける為の活動、応援をさせて頂いています。

 

アニメの世界観も勿論ですが、高橋さんの声と歌い方があってこその1つの世界観が感じられのだと思います。

高橋:今でも25年間心がけているのは「初期のCDと同じように正確に歌う」という事です。いつ皆さんの耳に入っても『新世紀エヴァンゲリオン』を思い出して頂けるように25年前の私の「ものまね」をする感じですね。ただ、25年経ってますから・・・時々書き込みなどで「声が変わった」とか言われますけれども、25年たてば色々変わるし歌も変わるんです!!(笑)変わっていくものに関してはできれば温かい目で見ていただきたいな・・・という希望はあります。(笑)

マネ:ベテランの中には、歌い方を変えるアーティストさんもいらっしゃるじゃないですか。ファンの方からするとオリジナルを聴きたいっていう心理って必ずあると思うんです。でも洋子さんは変えないんです。この「変えない凄さ」には、担当してから気づきました。

高橋:確かにファンの方からすると、私が幾つになろうと当時のキーと歌い方で聴きたいと思う方はたくさんいらっしゃると思います。だからこそ今まで以上に練習もしますし、メンテナンスもしています。

 

高橋さんはどういったケアをなさっていますか?

高橋:私は何十年もマスクなしで寝たことはないんです。口にテープを当ててマスクをして、首にはストール巻いて寝ます。今コロナの状況で皆さんマスクしていますけど「洋子はずっとマスクだよ・・・」っていう感じなので、実際生活が大きく変わったという実感はないですね(笑)。温度の変化などは、一番喉に影響が出るので。冬はとにかく空気を乾燥させないことは気をつけています。声だけでなく、肉体的にもトレーニングは欠かしませんね。だって「プロ」ですから!!

 

「残酷な天使のテーゼ」ですが、和太鼓バージョンなど、さまざまなアレンジをしていますが、その中でも特に印象に残っているアレンジはありますか?

高橋:そうですねー・・・それぞれ工夫を凝らしてやっているので、1つに絞るのは難しいですが、「MATSURI SPIRIT」でいえば、日本を代表する文化となったアニソンと日本のお祭りが融合した、世界に発信できる曲にしたかったんです。それで太鼓の神様と言われている林英哲さんにオファーして「これぞ日本の祭り」というような曲調にしていただきました。今年の1月に行われたふるさと祭りで歌わせて頂いたんですけど、あれだけ大勢の方と一緒にパフォーマンスしたのも初めてだったのでとても新鮮でした。アニソンを歌っていて思う事なんですけど、海外に行ってもみなさん「残酷な天使のテーゼ」を日本語で歌って下さるんですよ。「MATSURI SPIRIT」は盆踊りの振り付けもついていますし、今年はコロナの影響でお祭りなどが中止になってしまって残念なんですけど、これで世界中の方と一緒に踊れる日が来るといいなって思っています。

 

作詞を担当した及川眠子さんは、「高橋さんは母性」ということをおっしゃっていました。どのような意味と捉えていらっしゃいますか?

高橋:まず、『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公が14歳なんですけど、自分が主人公達の母親側の立場に近いということと、歌から母性を感じると言っていただくことも多々あるのでそういったところだと思います。今私が歌っている時の気持ちは完全に母性ですね。私も『エヴァンゲリオン』が大好きなので何回も見ていますけど、主人公達の気持ちなど考えると、やっぱり母親目線になりがちだし『エヴァンゲリオン』自体にもそういう要素があると思います。全部が重なっているんじゃないかと思いますね。

 

「心よ原始に戻れ」「魂のルフラン」は包み込むような歌詞と、壮大な曲調が印象的な楽曲ですが、歌っていく上で意識していることなどはありますか?

高橋:レコーディングをしている時、「心よ原始に戻れ」と「魂のルフラン」はどっちが劇中で使われるか決まっていなかったんです。「魂のルフラン」の作曲家は大森さん、「心よ原始に戻れ」は佐藤英敏さんなんですが、両方のアレンジを大森さんが担当されているんです。本当だったら自分が作曲したほうを採用されたいと思うはずなのですが、大森さんは「どちらが採用されても恥ずかしくない最高の曲を作る!」と仰っていたのを聞いて本当にプロフェッショナルだしかっこいいと思いました。あと「魂」っていう言葉って今でこそ普通に使われるようになってきていますけど、当時は宗教的というか、ちょっと怪しげな雰囲気もあったのでインパクトがありましたね。その上で「魂のルフラン(リフレイン)=輪廻」っていう、今生で終わらないっていう壮大なスペイシーさがあると思いますね。

 

9月にテレビ朝日系列で放送された「アニソン総選挙」では「残酷な天使のテーゼ」が1位、「魂のルフラン」が98位など、輝かしい功績を残されています。

高橋:1位とわかった時も、あくまでも私は『エヴァンゲリオン』スタッフの中で、音楽チームの歌担当という立ち位置なので、私一人の喜びではなく、みんなで勝ち取った1位だと思っています。この作品に関わっている、そして見てくださっている方々のおかげです。でもまさか25年以上も歌っていけるとは思っていなかったので本当にラッキーだったと思っています。 

 

高橋さんにとってのアニソンというものはどのようなものですか?

高橋:まずアニソンって堀江美都子さんや水木一郎さんとか、そういった方々の頑張りがあってこの道が拓けていると思っているので、その方々を無しにアニソンを語ることはできないと思っています。アニメってもう日本を代表する文化になっていますし、海外の方もアニメやアニソンから日本に興味をもってくれるっていう新しいも流れもあります。私は「アニソンは国境を超える、最強のパスポート」ってよく言っているんです。海外での公演やイベントに出演することも多いんですが、どの国に行ってもファンのみなさんが日本語で「残酷な天使のテーゼ」を歌ってくれます。これは本当にびっくりする事なんです。アニソンがあるとスッと打ち解けられるというのはありますね。

 

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「残酷な天使のテーゼ MATSURI SPIRIT」

【収録曲】

      1.残酷な天使のテーゼ MATSURI SPIRIT

      2.残酷な天使のテーゼ MATSURI SPIRIT(off vocal ver.)

【商品情報】

      商品コード:kicm-3362

      JANコード/ISBNコード:4988003547714

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