m-flo ☆ Taku、VERBAL、LISA が織り成す“ 新tripod” の全貌

オリジナルメンバーのLISAが15年ぶりに復帰し、今年デビュー20周年を迎えるm-flo。リミックスアルバム『BACK2THEFUTURETHEALBUM』と新作EP『the tripod e.p.2』を矢継ぎ早にリリースするなど、精力的な活動で再び音楽シーンを賑わせている。今回のインタビューには☆Taku TakahashiとLISAが登場。LISA脱退・復帰の真相から、3人での曲作り、m-floのスタイルやその使命についてまで、ユーモラスにたっぷりと語ってくれた。 

text:鳴田麻未

 

Takuのトラックは古びない

――先日Billboard Live TOKYOで開催された再始動後初のワンマンライブ、拝見しました。終えた感想から教えてください。

☆Taku:僕らが普段ライブするような場所ではなかったですけど、座って見る形じゃなくてライブハウス的な盛り上がり方になりましたね。それはすごくm-floっぽかったんじゃないかと。m-floを待ってくれてる人たちと直接触れ合うことができて、感謝の気持ちでいっぱいですし、最高のスタートを切らせてもらいました。LISAは楽しめた ?
LISA:Love it ! Very nice ! でも何日も前からすごく緊張してました。昔の曲を歌うってことで、いまだにフレッシュに聴かせたいなと思うと、声のコンディションを整えたりなど、準備もあったので。

――でも、15年以上の時が経っているとは思えないくらい歌声に衰えが見えませんでした。それはシンガーとして歌い続けていたからでしょうか ? それとも今回再始動するにあたって鍛えたりしました ?

LISA:ワークアウトしたよー!( 笑) やっぱり20年近くも経つと声が変わらないって言ったらウソになりますよね。ただ、そこを変えずになるべくオリジナルのようにいきたい。となると、そこまで自分の体を持っていかなきゃならないわけで。1日や2日のリハーサルじゃ済まず、普段の生活をヘルシーに変えて喉の体操をしてと、ライブの日のために調整をしましたね。ただステージに出た瞬間、私たちを愛してくれるみんなが間近にいて、緊張がほどけたんだよね。どう歌ってもみんななら許してくれるなって思えた。あんなにファンのみんなと近い環境で、1stワンマンができたことに感謝!
☆Taku:ホームみたいな雰囲気だったよね。LISA:そう! Takuちゃんのトラックにはやっぱりマジックがあって、そのマジックは So many years 経っても、古いなっていう感じが一切しないんですよね。「昔の曲」という言い方するのも嫌いだし、歌い続けてていいなって自ら思いました。

――Takuさん自身は、楽曲にエバーグリーンな魅力を持たせようと意識してるんですか ?

☆Taku:全然。要は流行に乗ってるようで乗り切れてなかった(笑)。それが結果的に良かったという。

 

今までで一番仲良い

――m-floは現在、こういったメディア露出やライブで多忙だと思うのですが、過去にはその状況が不和の引き金になったこともありました。再び3人で精力的に活動していて所感はどうですか ?

☆Taku:すごく良い感じで仲良くやれてるなって実感しています。今までは“必死”だけだったんだけど、キツいこともありながらその状況が笑えるみたいな、今この瞬間を楽しめるようになってる。なんでも真面目に捉えちゃっていたところを、少し不真面目に考えられるようになったというか。
LISA:いや、Takuちゃんはアウトオブコントロールなのでちょっと真面目に戻していかないと大丈夫かな !?くらい(笑)。おっしゃる通り、私が離れた理由も、狂ったようにギチギチなスケジュールでどこからも手を差し伸べられなかったから。音楽のために、もうああいうことはやっちゃダメ。loves時代もどのような怒涛だったか私はわからないけれども、もうこの3人が戻ったからには、ちゃんと深呼吸をしながら、笑いながら、ふざけながら … 。そういったことを音楽を作るためにしなきゃ。

――音楽第一で動くと。

LISA:だってそこがなきゃ私たちじゃないですから。今はとても良いバイブスが流れてて、それはどういうことかっていうとトゥータイトな時も「Hey, Are youOK ?」って気遣い合える。前はこんな普通のことができない状況だったから、私はとっ散らかって辞めたんですね。これができるって大きいよね ?                                        ☆Taku:うん。スタッフも「 メンバー同士で喋れ 」っていう空気を出してくれてるし。
LISA:3人とも今までで一番仲良くて、もう愛し合ってます。3日間くらい離れてると寂しくて「どうしてる ?元気 ?」って連絡しちゃうの(笑)。私も彼も。

 

LISA復帰は“Feel&Chemistry”

――LISAさんがなぜこのタイミングで復活することになったか。これは他の場でもお話されている通り、2016年12月にJ-WAVEのクリスマスイベントでTakuさんとLISAさんが久々に共演してm-floナンバーを披露したことが、最初のきっかけだそうですね。

☆Taku:はい。VERBALと「次に出すm-flo作品は(ボーカリストは)LISAだな」とは話してたんです。何かきっかけが欲しいなと思っていたところに、J-WAVEから「懐かしい曲を」というオファーがあって即答でOKしました。

――「次のm-flo作品はLISA」と考えた理由は?

☆Taku:lovesやりました、lovesって言わないm-floもやりました、次何しようか ? という時に「LISA呼ぶの面白いんじゃない ?」っていう話はポツポツ出てた気がするんですよ。うーん、理由はないというかフィーリング。VERBALもなんとなくそういう感じだよねーって考えが一致していました。
LISA:Feel&Chemistryだよね!
☆Taku:それでイベントに出た時に、LISAがやりたいって思ってくれたのもうれしかったけど、お客さんが予想以上に喜んでくれたのが大きかった。復活への背中を押してくれた感じがあります。
LISA:こんなに経っても3人のm-floを見たい人たちがいる。私はあのライブでそれをバッチリフィールして、終わってからTakuちゃんに電話したんです。「みんなはまだ私たちを待ってるから、絶対もう1回やらなきゃ。OKしてくれる ?」「俺はちょっと前から考えてたけど」「じゃあすぐにVERBALに電話して彼のOKをもらって」って。これはたぶんラストラン、今やらなきゃもうタイミングはないと思ったのね。そしたらVERBALが事故に遭って、Takuちゃんが病院にお見舞いに行った時に話をしてくれた。私は、あのライブでフィールしたってことがすべてです。それほどファンのみんなの反応っていうのは大きかったですね。離れたのは私だけど、戻してくださいって言ったのも私です。
☆Taku:しめしめって思ったのは僕です。
LISA:ハッハッハ! 超リアルだね、うちら(笑)。

 

僕らの曲作りはサーフィン

――今までいろいろなボーカリストで曲を作ってきたTakuさんにとって、LISAさんはどういう存在なのでしょうか ?

☆Taku:大きい質問ですね。マーク・ハミルがキャリー・フィッシャーをどう思うか? みたいなもので(笑)。
音楽的な話をすれば当然すごい才能の持ち主だと思いますけど、もう僕のライフスタイルの中に入ってるので。ブッ飛んだ双子の妹のような感覚です。
LISA:サーセン(笑)。
☆Taku:それが良い曲制作につながるんですよ。やっぱり音楽って人が作るものじゃないですか。パーソナリティがベースなので。だって「こういうのどう? 」って提案して「わかった ! 」って言うけど、その提案通りになった試しがないんですよ。VERBALもそうなんですけど。

――そうなんですか(笑)。

☆Taku:予定通りにいかない、元のアイデア以上のものになっていく。そこがm-floのおもしろいところで、人間性の成せることだと思うんです。人間性をお互い認め合えてるからこそ、信頼もできるんじゃないかなって思います。
LISA:それはあなたが自由をくれるからよ。こういうふうに作れって言われたら私ダメだもん。自由に行ってこいっていうスタイルだから、私もう幸せ!
☆Taku:大変なんですよ、だから(笑)。僕としてはここに持っていきたいなってイメージもあるし、VERBALのテイクによってLISAが変わることもある。僕らの曲作りを例えるなら、サーフィンみたいな感じですね。波って毎回違うじゃないですか。その波をどうやって楽しむか。

――なるほど。お二人から見てVERBALさんは改めてどんなアーティストですか?

LISA:私の中では、彼以上のラッパーはいないな。自分のグループの中にこんな人がいてスッゲーっていまだにリスペクトしてます。曲の書き方は変わったと本人は言います。昔は全部ちゃんと用意してきたけど、今はスタジオ入って私の歌をフィールしながら詞を書いてるって。でもジーニアスな歌詞は相変わらずですね。Takuちゃんは彼をずっとミュージック的に調理しててどう ?                                            ☆Taku:情報感度が強いですね。そしてネゴシエーションハックがすごいんです。VERBALがどんな人かっていうと、坂本龍馬みたいな人です。

――といいますと…… ?

☆Taku:薩長同盟を実現させちゃうように、水と油をくっつけて新商品を作っちゃうみたいな。アーティスト自身がクリエイティブコントロールをするっていうのは世界では標準的ですけど、日本では難しくて。VERBALはそれを実現させるための土台をしっかり作ってるし、土台作りも一緒に楽しんじゃってる感じ。あと、僕ら2人は同じ目標を持つとめちゃくちゃ強いです。仲悪い時は全然噛み合わないけど、息が合うと何かを達成しようとするエネルギーがすごくなる。そういう関係です。

 

通底するm-floのスタイル

――m-floの1stアルバム『Planet Shining』は“宇宙旅行”という設定がサウンドでもアートワークでも貫かれていて、ドープなことをやっているのにポップで、スキルをユーモアで包んでいて。当時J-POPしか触れていなかった小学生の自分には鮮烈でした。

☆Taku:他の人たちってヒップホップをどうやって外へ出すかとか、R&Bをどう外へ出すかが、当時のキーワードになってたと思うんですよ。僕らも何気にそうだったんですけど、途中から気にしなくなっちゃった。そこが良かったんじゃないかな。LISAも最初は「私はR&Bを歌いたいの」ってずっと言ってたよね ?
LISA:うん。ただ私がどれだけR&B的なものを持って行ったとしても、Takuの手にかかるとポップファンタジーになるんだよ。そこにVERBALがゴリゴリのスタイルで入ってきても、ゴリゴリに聞こえない(笑)。うちらポップだよね。でもそこがすごく好き !
☆Taku:同時にそれがディスりの対象になったのかもしれないし。「ヒップホップとして認めない」とか。
LISA:あっそう !? なんでだろうねー。m-floはどのジャンルにも属さないオリジナルのスタイルだと思ってるから、どこにいようが私はなんにも心配してないな。
☆Taku:僕もオリジナルだと思ってるけど、J-POPっていう印を付けられるのなら、独自のユニークさだったり未来を感じさせるものを出すっていうのがm-floの役割かなと思ってました。

 

新作、そして未来へ

――ポピュラリティと自分のやりたい音。そのバランスに関して『the tripod e.p.2』ではどう考えました?

☆Taku:そう聞かれると自分がやりたいことに比重を置いてるんですけど、「No Question」には別のバランスがあって。過去のm-floと今のグローバルトレンド。昔からm-floってビルボードやグローバルトレンドを間違った方法で取り入れてるんですけど(笑)、今のグローバルトレンドのテイストを(『EXPO EXPO』のCDを指しながら)この人たちが作ったらどういう感じになるかっていうのを意識したのが「No Question」。『Planet Shining』じゃなくて『EXPO EXPO』かな。

――『EXPO EXPO』の頃に使ってた音色が随所に入ってますもんね。

☆Taku:そういう意味では意識的にリブートを作ったような感覚です。
LISA:でも「No Question」のトラックはヤバいよ!一発で「 Fantastic track !! Takuカッコいいー!! 」ってなってブワーッとメロディが出てきて、それを共有して3人でイエース! って感じでしたね。「MAKE IT BREAK IT」のトラックも鬼ヤバ!

――あはは(笑)。これはm-floというユニットのイントロデュース曲にもなってませんか ? 旧譜のタイトルが出てきたり「11次元が見えてる」というラインだったりと。

☆Taku:うん、スタンスを見せる曲になりましたね。それにしても新曲を並べてみると、一番サービス精神旺盛なのはVERBALですね。リスナーの心をくすぐる人。資質は一番アンダーグラウンドなんだけど、作品を出す時はとってもフレンドリー。
LISA:そうだね。うちら2人はタメセンでポップ好きだと思う。

――そして「never」は、前のtripod時代を通しても最上級に情感のこもった曲なんじゃないかと。

LISA:そうですね。何度もやってピチパチすると曲の魂が消えちゃうので、お手紙を書いた通りに読み上げるような歌い方をレコーディングではしました。心で歌いに行ったので、終わったあとは魂が抜けたかのように疲れましたね。私は音程番長ではありますけど、やっぱり魂すべてで歌うアーティストでありたい。
☆Taku:採用テイクは音程よりもフィーリング重視で選んでたよね ?
LISA:いや、任せたよ。っていうのもこの曲は2人に捧げたラブソングだから。やっぱり復帰して初めて書くm-floのバラードは、彼らへのラブソングじゃなきゃと私は思ってたの。

――最後にこれからのm-floについて、展望を聞かせてください。

☆Taku:昔からやることは一緒なんですよね。まず僕らが信じる良い曲を作る。そしてそれを好きそうな人たちと、いろんな表現方法でつながる。この2つで。でかいホールやこのあいだみたいなビルボードのようなステージもいいけど、面白いインスタレーションを使って表現できたらm-floっぽいねってVERBALとも話をしていて。要はチャレンジングではあるけど新しいこと、パイオニアとして何かを表現するっていうのが僕らの使命なのかなと。
LISA:Yah, Keep pushing borders. That’s m-flo.
☆Taku:そして、フィールドは日本にこだわらずにいろんな国で。そういう事例を作っていきたいですね。それが未来のm-floなんじゃないかなと思います。

 

NEW RELEASE

the tripod e.p.2

【CD+DVD】RZCD-86505/B ¥2,000(税別)
【CD】RZCD-86506 ¥1,200(税別)
NOW ON SALE

 

PROFILE

m-flo (エムフロー)│1998年に☆Taku Takahashi 、VERBAL、LISAで結成。1999年7月に1stシングル「the tripod e.p.」でメジャーデビュー。2ndアルバム「EXPO EXPO」では80万枚のセールスを樹立。2003年にLISA脱退後、アーティストとコラボしていく”Loves”シリーズで日本に“featuring”という概念を定着させ、2007年には横浜アリーナ公演を開催。プロデュースやリミックス、DJ活動を得て2017年、15年ぶりにオリジナルメンバーで完全復活。