【後編】a-nation 2018座談会ー avexが創りだした、音楽のテーマパーク『a-nation』の歴史に迫る

2018年の東京開催も間近に控えた『a-nation』。日本の夏フェスとして名高いa-nationの原点は93年まで遡る。そんなa-nationの歴史を紐解くべく、皆勤賞のDJ KOO氏、avex宮腰厚彦氏、シミズオクト菅谷忠弘氏に話を聞いた。観客からはわからないバックステージの話やavexだからできたこと、a-nationが果たしたダンス文化への貢献話が飛び出した。

eyecatch

どんぶり勘定とは真逆。1分1秒を縮める作業をしている。

一舞台設置における新たな取り編みでは、例えばどういったことがありますか?

sugaya

菅谷:いちばんのシンボルは、a-nationのロゴ入りの幕がかかった巨大なスピーカー・タワーです。当初は音抜けの問題があって幕をかけるのが難しかったんですけど、ヒビノさんと力を合わせて解決しました。もうひとつはビジョンですね。遠くのお客さまにも満足いただけるよう、できるだけ面積の大きなものをと常に考えていて、ま、主に強度計算ということになりますが、設営に関しては日進月歩しています。さらにステ ー ジを雨風からどう守るか。これに関しては研究を積み、絶対に雨漏りしない仮設の屋根を造れるようになりました。心臓部である卓廻りの屋根は、観客からの見切れを最小限にするため低めで頑丈なテント仕様。これもテントを扱う会社と共同で独自に開発したものです。

一『お客さまファ一スト』を、感じます。

宮腰:お客さまファ一ストであり、同時にプロがどこまでプロになるかでもありますよね。実はステージそのものも、毎年少しずつ後ろに下げてくださってるんです。ひとりでも多くのお客さんが入れるようにと。

菅谷: 味の素スタジアムになった当初は、ステージの一番前のラインが芝が始まるギリギリのところでした。今ではそこから何メートルも後ろに下がってます。

宮腰:その分、バックヤードの動線が狭くなりましたね。いい意味で、ですけど(笑)。

菅谷:はい。バンドライザー(バンド楽器を載せた台のこと)がなおさらところ狭しと並ぶ感じになりました。

DJ KOO:あれだけ大きな会場なのに、スタッフさんたちの動きはセンチ感覚(笑)。

宮腰:タイムテーブルにしても、1ヶ月前に決まることはほぼないんです。そんな状況下でも、最もスムーズにやる方法を想定して各セクションが緻密な準備をしてるんですよ。

DJ KOO:どんぶり勘定とは真逆。1分1秒縮めるために間口を2cm削るなどといった作業を積み重ねてる。表からは見えない部分ですが、それがあるからこそオーディエンスに届くステージになるんだと思います。

一さて、フェスの形態としては、2004年からレコード会社の垣根を越えたアーティスト・ラインナップになりました。

miyakoshi

宮腰:たぶん自然な流れだったと思います。確かにavexのアーティストが好きなお客さんは多いけど、観たいアーティストはそれだけじゃないだろうし、僕らにもavexのアーティストだけでいかなきゃいけない理由がなかった。おのずと「若干アウェイな感じにはなるかもしれませんが、もしプロモーションになる と感じていてだけるのであればぜひ参加してください」というふうになっていきましたね。そもそもavex以外出さないと宣言していたわけでもないので、他メ ーカーの第1号が出たらどんどん続き、気づいたら当たり前のようにいろんなメーカーのアーティストが並ぶようになりました。

DJ KOO:始まった当時は、avexのアーティストが一堂に会すからこそのことをやっていたと思うんです。倖田来未、ELT、TRF、東方神起、ayu(浜崎あゆみ)みたいな黄金の流れを作れるのがavexだぞという気概で。そこに、他メーカー、他ジャンルという新たな刺激が加わり、お客さんの反応がまたよくなった。ポルノグラフィティ然り、GACKT然り、X JAPAN然り。さらに渡辺直美ちゃんみたいな時々の旬の人たちも。そういう変化とともに、いつしか音楽シーンを代表するフェスになっていましたよね。

TRFとアクト・ダンサーのコラボは絶対他では見られないシーン

宮腰:他メーカーのアーティストの方たちは、ある種違和感のあるa-nationで自分たちをどう見せるかの作戦を立てて来られる。だから、ワンマンとはまた違う顔が見られるんです。そして、みなさん場内を食って帰られる。なかでも米米CLUBさんは強く印象に残ってますね。迎える側がウカウカしていられないという気にさせられました。
DJ KOO:「アウエイだと思って臨んだら、最後はホームにも思えた」と、a-nationのオーディエンスの反応を喜ぶ他メーカー のアーティストさんも多いんですよ。

一ホーム側の方たちが醸し出す空気感も、きっと心地いいんじゃないでしょうか?

djkoo

DJ KOO:a-nationの最高にいいところは、出演者みんながバトンをリレーしながら作っている ところ。たとえばTRFがステージに出るときは、出番を終えた倖田が袖で「イエイ!」と気合いを送り、出番を控えたayuが「頑張れー!」と叫び、AAAがフィールドで観客と一緒に盛り上がってくれてる。そういう一体感は、必ずお客さんにも伝わりますよね。アーティスト同士の楽屋での会話や記念撮影など、かなりレアな景色もいっばい。僕は迎える側として、他メーカーのアーティストさんたちに「ありがとう」を伝えつつ感想を聞いて回ったりもしてます。

一そういった有機的な関係がa-nationを魅力的なものにしているんですね。

菅谷:魅力といえば、a-nationの初期の頃から、アクト・ダンサーと言われるたくさんのアマチュア・ダンサーがTRFとコラポするシーンがあります。あれは他では絶対見られないバターンですね。巨大なステージの間口をめいつばい使うダンス・フォーメーションは、本当に衝撃的でした。

DJ KOO:アクト・ダンサーからデビューした人たちも多いんですよ。lol (エルオーエル)や東京女子流(TOKYO GIRLS’STYLE)もそう。

一SAMさん、CHIHARUさん、ETSUさんが、毎回時間をかけてオーディションなさっているのが、確実に実ってきていますね。

宮腰:TRFはダンス文化のバイオニアですよね。TRFとともにavexもダンスの振興に寄与してきました。そういった要素が随所に見えるのもa-nationの特徴だと思います。

一では、今年の見どころをお願いします。

anation stage

宮腰:初の三重、長崎での開催のあと、大阪、東京と回るので、アーティスト、スタッフ、観客を含めa-nationが完成度を上げていく様をぜひ目撃していただきたいなと。

菅谷:舞台装置的には、やはり上手、下手に出現する見たこともないスケールのビジョンです。天候と撤去の心配をしながら、今年は私自身も一緒に楽しみたいですね。

DJ KOO:2年前、avex management学園というウェブ番組でお客さんへの突撃レポートを して、みなさんそれぞれに独自の楽しみ方があることや親子連れの多さに感動したんですね。そういった純粋な興奮みたいなものを、僕自身も感じながらステージに立ちたいと思います。avexのロゴが新しくなったので、それだけでも新鮮だと思いますし。

宮腰:a-nationは変わり続けるフェス。観客層や楽しみ方がどんな変化を見せるのか、演出する側としても楽しみにしていたいです。

DJ KOO:とにかく、いい時もそうでない時も、 a-nationに来て楽しんでもらえることが一番。そのためにも、我々アーティストとスタッフは今年も一丸となって何センチ、何秒の更新に励みたいと思います。

→ 前編はこちら